読む/書く

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2023-01-01から1年間の記事一覧

童子問 第15章

「論語は教えだけを言っており、道はその中にあるとすでに伺いました、孟子は道だけをいっており、教えはその中にあると伺いました、どういうことでしょう?」 「道とはなんでしょうか。仁義のことです。孟子の書では仁義を以てその中心としています。七編あ…

童子問 第14章

「中庸には性道教から説き始めています。今道を上として、教が続いていると先生は説かれました。性をもって道をつくして教えをうける素地としていますその言葉を措いているのは同じでないのはなぜですか」 「中庸の理と同じことを言っているのです。ただ、注…

童子問 第13章

「性道教についてさらにくわしく教えてください」 「道にいたること、これについては論ずるまでもないでしょう。しかし、道が人を聖賢にするのではありません。論語にいうところの『道が人を弘めるのではない』という通りなのです。人が己を聖賢たらしめ、天…

童子問 第9章

「人の外に真理はない。というのはどういう意味ですか?」 「人とは何か。君臣であり、父子であり、夫婦であり、兄弟であり、友である。8章で言ったよううにいわゆる五達道である。道は一つだ。これが君臣であるときには、義という。父子であるときには親と…

童子問 第8章

「わかりやすく、実行しやすい、普遍のことわり。実に至極であり、ということはよくわかりました。しかし、心の中で釈然としません。わかりやすくさらに教えてくださいませ。」 「人の外に道はなく、道の外に人は生きられない。人は人の道を行なうのですから…

童子問 第7章

「先生はすでに孟子が論語の解説本であるとおっしゃいました。すると、学ぶ者は論語を読んで、孟子は読まなくていいのではないですか。」 「それはちがいます。註釈するとは、論語に通じることを求めることです。学ぶ者が孟子を熟読しなければ、絶対に論語の…

童子問 第6章

「先生、論語は簡単で分かりやすくて、六経は奥深くて読みにくいです。なのになんで六経の上に論語の教えが君臨する。と説明しているのですか?」 「程氏がこう言っているだろう「論語の教えがわかった時には、六経のことは学ばなくてもわかってくる」と。六…

童子問 第五章

「世間の人は皆、論語は簡単で共感しやすく、意味も親切でわかりやすいとしています。論語が本当に広く深く、こんなにわかりにくいということを知りません。先生のお考えを教えてください。」 「論語は聖人がど真ん中の心でど真ん中の道を説いている書である…

童子問 第四章

「いわゆる宋学の先生方である朱熹の朱子学や王守仁の陽明学とか禅とか荘子などを見ると議論の言葉は格調高く、難しいので本当にその言葉がりっぱなのだろうと思います。論語はとても平易であんまり意味ないんじゃないかと思ってしまいます。どうでしょう。」…

「童子問」 第三章

童子問 第三章 「もう少し詳しく教えてください」 「五穀、というのを知っているか?天下の美食を論じていくと、五穀に極まってしまうんだ。八珍や醍醐と呼ばれるような美食でさえも五穀を常に食べるように食べるわけにはいかないだろう。そして五穀を食べな…

童子問 第二章

童子問 第二章 童子 「本当に先生がおっしゃる通りです。論語、孟子の二書は私も日ごろから熟読しております。朱熹の集註大全や諸家の注釈もかつて深く読み込みました。二書は本当に日々読んでおり、重要ですし、実に親切だと思います。でも、密かに、このほ…

童子問 第一章

童子問 第一章 こどもの問い 「先生は孔子、孟子の教えを原典にあたってはっきりさせて、学ぶ者を教え導くとおっしゃっています。でも、ボクは入門して日が浅く、生まれつき愚かです。さらに、先に習ってしまったことが主になってしまっており、孔子、孟子の…

童子問 目次

童子問は伊藤仁斎が子供と仁斎先生の会話として書いた問答形式で論語を する書物です。たぶん入門書を意識して書かれたものなのでしょう。 原典に当たることの大切さを何度も述べているこの本を現代語に訳したり要約してしまうこと自体が矛盾しているように…

版画美術館に行った

昨年の夏、町田市の版画美術館に行ってみた。 特設展示の「彫刻刀が刻む戦後日本ー二つの民衆版画運動 工場で、田んぼで、教室で みんな、かつては版画家だった」を見た。 コンセプトは、1947年に日本で紹介された木版画(中国木刻)をもとに、社会運動を版…

バービー

不適切なコメントで炎上したバービーを見に行った。 もう、開始3分で、登場人物が片っ端から、バービー、ケン、アランなのと画面がピンクだらけで、クラクラした。 ジェンダーの問題を扱っているとされている映画らしいが、 日本人もアメリカ人も、性別関係…

論語の話 吉川幸次郎 第27回 (最終)

第27回 終わりに ーー 学問のすすめ •学ぶことについて •学ぶことと思索することについて •文学/文化の価値について •三省について 小言 この章だけでも読んで欲しい。(いや、全部読め) 日本でも、世界中のあちこちでも、文化の破壊が起きている今、再び…

「論語の話」 吉川幸次郎 第26回 

第26回「中庸の徳」ーー論語の運命観(2) •小さなことには慎重と節度、大きなことには積極的にリスクを取る。という孔子の生活態度について。 •清貧とか違う。日本人の誤解。 •ただし、道がないときには行動は立派に。ただし、言は遜(ゆず)れ。 小言 …

生成系AIと承認欲求 -科学的な知見は蟷螂の鎌や隠れ蓑なのか-

この問題、取りやめになったとしても、「事実よりも感情を優先している」こと自体が、大いに問題だと考えるので、取り上げようとおもいます。 プロジェクト取りやめのお知らせ ↓ www.jrc.or.jp 本プロジェクトは、当支部エントランスの壁に飾ってある、約100…

「論語の話」 吉川幸次郎 第25回

第25回 天命を畏るーー 論語の運命観(1) •天命というもの •子在川上曰、逝者如斯夫、不舎昼夜について 荻生説の悲観と朱子説、伊藤説の楽観。 吉川説の中間。 引用 時間は確かにものを時時刻刻に過去に移して参ります、滅亡の原理でもあります。しかし…

「これで死ぬ」羽根田治 著 山と渓谷社

ふと、これを読んでみた。 なるほど、こんなことで人は死ぬのだな。と感心するような山岳死亡事故(のみではなく、アウトドアでの事例)と原因、回避するための方法が掲載されている。 すこし時期は過ぎたが、これから涼しくなっていきアウトドアが盛んにな…

「論語の話」 吉川幸次郎 第24回

第24回「怪力乱神を語らず」ーー人間の限界への洞察 ・仁を欲し自らに求め続けなくてはならない。 ・しかし他人が認めないこともある。 ・人の己を知らざるを患えず、知られざるを患うるなり。 ・孔子は何度も自分自身の努力が必要で他人の評価に一喜一憂…

ゴヤの名画と優しい泥棒

科博(国立科学博物館)へのクラウドファンディングが耳目を集めた今年のお盆にこの映画をみた。 映画自体は、1961年に実際に起きた、ロンドンのナショナルギャラリーから14万ポンドで購入したゴヤの名画「ウェリントン公爵」が誘拐され(盗まれ)、「年金…

ヘルモニ 地獄からのおばあさん

地獄ババア という題名の韓国映画。 無実の詐欺罪で長年服役していた、人の心を揺さぶるスタンド使いのようなばあさんが、生き別れた息子の家で家政婦として働きだす。 一方、TV番組のプロデューサーは、「毒舌バトル」という、シチュエーションコント+MCバ…

「論語の話」 吉川幸次郎 第23回

第23回「仁を欲すれば斯に仁至る」ーー努力と可能性への信頼 ・前回の伝説は西暦0年の漢の時代にできた話だと思われるが、孔子の悲劇的性質を強調するためのものであろう。 ・この時代は孔子だけでなく、世間が乱れていた。一つは斉の国で帰化人の陳氏が…

「論語の話」 吉川幸次郎 第22回

第22回 最晩年の孔子と孔子伝説 ・魯に帰ってきてから、音楽を体系立て、詩を体系立てた。 ・彼の生きている現在の人間には失望し、将来の人間のために書き物を残そうとした。(五経) ・経というのは、本質、あるいは永遠という意味で、永遠に人間の規範…

「論語の話」 吉川幸次郎 第21回

第21回 天を怨まず、人をとがめず ・56-68才まで、さまよった。 ・弟子とともに困難にあっても互いに見捨てなかった。 ・困難には、政治家に囲まれる、敵対する者に批評される などがあった。 ・他方、市民から哀れに思われ同情されたり、支持者もいた。 ・…

「論語の話」 吉川幸次郎 第20回

第二十回 徳と好色 ・前回の「徳を好むこと、色を好む如くする者を見ざるなり」が、史記によるように霊公の夫人の南子に発せられたかは別として、「巧言令色鮮なし仁」と同じように初めの方と後の方に二回出てくる。 ・孔子が色をどう考えていたのか興味深い…

宮崎駿「君たちはどう生きるか」 ーボケ老人は生成系AIの夢を見るかー

話題の?宮崎駿監督作品を観てきた。 私にとって、このブログで過去に紹介してきた作品のいずれをも上回るクソ映画であった。 これは生成系AIに過去の宮崎駿作品を読み込ませ、 「もう、会社をたたみたい。人生の最後の作品としての新作をつくって」 と指示…

「論語の話」 吉川幸次郎 第19回

第19回 放浪遊歴時代(二) ・56才から70才まで、放浪した。 ・喪家の狗と言われたり、自らも水牛でもないトラでもないのに荒野をウロウロする。といったりしたほど。 ・「売れたい」ということを何度も・・・「死ぬまでに称せられる名が欲しい」「売れるものは…

「論語の話」 吉川幸次郎 第18回

第十八回 放浪遊歴時代(1) ・顔淵と子路。「これを用うれば則ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る、ただ我と汝と是れ有るかな」と顔淵をほめ、「暴虎馮河、死して悔い無き者は、吾、与せざるなり」と子路をたしなめた孔子だが、誰も理想を実…