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「論語の話」 吉川幸次郎 第23回

第23回「仁を欲すれば斯に仁至る」ーー努力と可能性への信頼

・前回の伝説は西暦0年の漢の時代にできた話だと思われるが、孔子の悲劇的性質を強調するためのものであろう。

・この時代は孔子だけでなく、世間が乱れていた。一つは斉の国で帰化人の陳氏が起こした弑逆事件。

・もう一つは、衛の霊公の事件だ。息子と不仲になって、実の息子ではないのではないかと思い、妻の南子を殺そうとする。南子は逃げるが、孫を後継に即位させてしまうと孫と霊公の息子の間で争いが起きる。

・魯でも不愉快な事件が起きる。

・まるで現在(1966年当時)の新聞の外電欄のようだ。

・それでも論語は人間の元来正しく生きる可能性を信じようとする。

・仁を欲しさえすればそこにある。家から出るときに戸から出るようにこの道に由る。

 人間にとって仁は水や火よりも近い、空気のようなものだ。

・人間はそんなに種類はなくて学問の差があるだけだ。と人間に期待をかけ続けている。

・与其進也、不与其退也(論語「述而」)

 

小言

乱世であって、も失望せずに

素質の差はそれほどない。もう、とにかく努力するしかない。

と説き続ける孔子

次回は、「不患人之不己知 患不知人也」

努力は自己の問題で他人による評価とは必ずしも関係ないという教えについて。