読む/書く

ちょっとずつ読んで、書いてみる

論語の話

論語の話 吉川幸次郎 第27回 (最終)

第27回 終わりに ーー 学問のすすめ •学ぶことについて •学ぶことと思索することについて •文学/文化の価値について •三省について 小言 この章だけでも読んで欲しい。(いや、全部読め) 日本でも、世界中のあちこちでも、文化の破壊が起きている今、再び…

「論語の話」 吉川幸次郎 第26回 

第26回「中庸の徳」ーー論語の運命観(2) •小さなことには慎重と節度、大きなことには積極的にリスクを取る。という孔子の生活態度について。 •清貧とか違う。日本人の誤解。 •ただし、道がないときには行動は立派に。ただし、言は遜(ゆず)れ。 小言 …

「論語の話」 吉川幸次郎 第25回

第25回 天命を畏るーー 論語の運命観(1) •天命というもの •子在川上曰、逝者如斯夫、不舎昼夜について 荻生説の悲観と朱子説、伊藤説の楽観。 吉川説の中間。 引用 時間は確かにものを時時刻刻に過去に移して参ります、滅亡の原理でもあります。しかし…

「論語の話」 吉川幸次郎 第24回

第24回「怪力乱神を語らず」ーー人間の限界への洞察 ・仁を欲し自らに求め続けなくてはならない。 ・しかし他人が認めないこともある。 ・人の己を知らざるを患えず、知られざるを患うるなり。 ・孔子は何度も自分自身の努力が必要で他人の評価に一喜一憂…

「論語の話」 吉川幸次郎 第23回

第23回「仁を欲すれば斯に仁至る」ーー努力と可能性への信頼 ・前回の伝説は西暦0年の漢の時代にできた話だと思われるが、孔子の悲劇的性質を強調するためのものであろう。 ・この時代は孔子だけでなく、世間が乱れていた。一つは斉の国で帰化人の陳氏が…

「論語の話」 吉川幸次郎 第22回

第22回 最晩年の孔子と孔子伝説 ・魯に帰ってきてから、音楽を体系立て、詩を体系立てた。 ・彼の生きている現在の人間には失望し、将来の人間のために書き物を残そうとした。(五経) ・経というのは、本質、あるいは永遠という意味で、永遠に人間の規範…

「論語の話」 吉川幸次郎 第21回

第21回 天を怨まず、人をとがめず ・56-68才まで、さまよった。 ・弟子とともに困難にあっても互いに見捨てなかった。 ・困難には、政治家に囲まれる、敵対する者に批評される などがあった。 ・他方、市民から哀れに思われ同情されたり、支持者もいた。 ・…

「論語の話」 吉川幸次郎 第20回

第二十回 徳と好色 ・前回の「徳を好むこと、色を好む如くする者を見ざるなり」が、史記によるように霊公の夫人の南子に発せられたかは別として、「巧言令色鮮なし仁」と同じように初めの方と後の方に二回出てくる。 ・孔子が色をどう考えていたのか興味深い…

「論語の話」 吉川幸次郎 第19回

第19回 放浪遊歴時代(二) ・56才から70才まで、放浪した。 ・喪家の狗と言われたり、自らも水牛でもないトラでもないのに荒野をウロウロする。といったりしたほど。 ・「売れたい」ということを何度も・・・「死ぬまでに称せられる名が欲しい」「売れるものは…

「論語の話」 吉川幸次郎 第18回

第十八回 放浪遊歴時代(1) ・顔淵と子路。「これを用うれば則ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る、ただ我と汝と是れ有るかな」と顔淵をほめ、「暴虎馮河、死して悔い無き者は、吾、与せざるなり」と子路をたしなめた孔子だが、誰も理想を実…

「論語の話」 吉川幸次郎 第17回 

第十七回 「義を見てせざるは勇無きなり」 ・史記によると孔子は朝廷にいる間に、少なくとも二人殺した。 論語にはこういうことは書いていないし、不愉快。信じたくない。 ・そもそも論語には、「悪い奴全部殺してしまえば、良い政治ができる?」ときかれ、 …

「論語の話」 吉川幸次郎 第16回 

第十六回 魯の宰相時代の生活 ・50-56才のキャリアについて →孔子は、当初都知事のようなポジションにつき、その後昇格して、建設大臣、司法長官、法務大臣、首相となった。 →そこで専横していた3ファミリの家老を排除しようとして負ける。 ・この間の言行は…

「論語の話」 吉川幸次郎 第15回

第十五回 「五十にして天命を知る」 ・孔子、50-56才まで魯の宰相になる。結果は失敗。 ・3つの家老の争いをやめさせようとして失敗、菅原道真っぽい。 ・荻生徂徠はこの点で、孔子は釈迦とは実務が違うと主張。 ・中国の最近の「論語」解釈研究では、名前を…

「論語の話」 吉川幸次郎 第14回

第14回 「論語」の「仁」とキリスト教の神 ・蒋介石も毛沢東も周恩来も論語は暗誦しているだろうと言ったら、ホーチミンはどうか?とリスナーからの質問。→ホーチミンも読み込んでいると思う。 ・「論語」と「聖書」の対比 人間の本質を罪びとととらえるか、…

「論語の話」 吉川幸次郎 第13回

第十三回 「論語」の世界観と老荘の道 ・論語の中には、没価値説やそれに基づく政治否認説がある。 ・直きを以て恨みに報い、徳を以て徳に報いよ → 新約聖書マタイ伝と比較される。老子にもある。 ・微子 第18には二つの没価値説者との遭遇が述べられてい…

「論語の話」 吉川幸次郎 第12回

第12回 孔子と老子の対話伝説 ・老子は、価値や秩序の否定。没価値説によって政治否定 ・老子は孔子よりも年配であるとして対話したという説がある ・孔子は老子に「礼」(社会生活、家庭生活の法則)について聞いた。 礼記には、日食の時に葬儀の列を止める…

「論語の話」 吉川幸次郎 第11回

第11回 政を為すに徳を以ってす ・孔子の政治は道徳による政治 ・篇名の付け方は最初の小の初めの2字を取って、雑多な内容を扱っている。 内容は自由に動き回っているので、為政だからといって政治のことだけ書いてあるわけではない。 ・刑を以て政をすれば…

「論語の話」吉川幸次郎 第10回

第十回 政治を通して理想を実現する ・陽貨には心を動かされなかった孔子だが、公山弗擾の反乱には招聘に応じようとする。子路は怒る。 ・なぜ招聘に応じようとしたのか。天命を知ることで、人生の有限を知ったのかもしれない。 ・子路について ・親ら(みず…

「論語の話」 吉川幸次郎 第9回

第9回 孔子を取り巻く世の乱れ(二) ・権謀術数の世界 ・陽貨と孔子のレスバ。孔子の思慮。居留守、留守時の訪問に留守時で返すetc... 小言 こういうドロドロとした世情は現在にも通じるものがある。 孔子は、その中で、理想に燃えることばを発信しつづけ…

「論語の話」吉川幸次郎 第8回

孔子を取り巻く世の乱れ(1) ・論語の魅力のひとつはことばの強さ。 ・発憤忘食、楽以忘憂、不知老之将至云爾 ・人格の偉大さとともに、世界の現実がみにくかった。 ・斉の景公の先代の不倫下剋上スキャンダルと下手人の謀略失敗による自殺 ・外国勢力 陳…

「論語の話」 吉川幸次郎 第7回

第7回 「論語」は封建的な書物か ・「君君たれ、臣臣たれ、父父たれ、子子たれ」の続き。日本では「君、君たらずとも、臣は臣たらざるべからず、父、父たらずとも子は子たらざるべからず」というが、中国的ではないし、日本発祥ではないかと考えていた。 ・…

論語の話 吉川幸次郎 第6回

第6回 斉の景公との対話 ・司馬遷は列伝でなく世家、大名家の歴史に孔子の歴史を記載した。 ・30代半ばで音楽にあって感動して...と共に記載あるのは ・景公の話。在位は長いが凡庸な君主。 4000の馬がいたが死んだとき誰も褒めなかった。 伯夷叔斉は飢え死…

「論語の話」吉川幸次郎 第5回

第5回 「三十にして立つ」 孔子の青年時代について解説がはじまる ・10歳の時に、総理大臣である子産が学者が政治批判をするので大学をつぶせといった側近然明に、良いところは取ればいいし、悪いのは改めようと言ったのを、「ほかの人が子産を仁でないと言…

「論語の話」吉川幸次郎 第4回

第4回 十有五にして学に志す ・孔子の出生伝説、怪力乱神を語らずというのにこんな説さえも出てしまうほど。 ・恵まれない環境ではあったが若い頃からとても優秀であった。 小言 3回の続きである。

「論語の話」吉川幸次郎 第3回

第3回 孔子の生まれ ・前回蒋介石や毛沢東も論語は読んでいるはずと言ったところNHKのディレクタが、マルクスレーニン主義の毛が古臭いものは読んでいるはずがないと不満だった。そこで毛沢東も論語を多々引用していることを立証した。 ・中国の文化での孔…

「論語の話」吉川幸次郎 第2回

第2回 「論語」が読まれてきた理由 前回は広く読まれていた事実を述べ今回はどう読まれてきたかについて。 ・古事記に論語と千字文がもたらされた記載があるが、奈良、平安朝においてはそれほど重視されていなかった。 ・奈良時代ごろに中国で古典研究の学…

「論語の話」吉川幸次郎 第1回

第1回 はじめに―――「論語」とはどんな書物か ・明治までは日本で最も広く読まれていた。 ・500章くらいからなるが知識人は暗誦しているレベル ・学問、人道についての短い文章からなる ・国学者の本居宣長も読み込んでいるからこそ、批判ができている 小言 …

「論語の話」 吉川幸次郎 メモ 目次

2020年代、日本で古典は人気がない。さらに昔の学説を単に古いということや、文献学的な「解釈」が変わったとかいうだけの理由で排斥しようという動きに満ち満ちている。 古典とは、ほんとうにそんなにもつまらないものだろうか? 古典を固定した一意に解釈…