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童子問 第9章

「人の外に真理はない。というのはどういう意味ですか?」

「人とは何か。君臣であり、父子であり、夫婦であり、兄弟であり、友である。8章で言ったよううにいわゆる五達道である。道は一つだ。これが君臣であるときには、義という。父子であるときには親という。夫婦であれば別といい、兄弟なら叙という、友であれば信という。みな人によってあらわれてくる道の姿である。

人がなければ道を見ることはできない。だから、「人の外に真理はない」というのだ。」

「では道の外に人生無し。というのはどういういみですか?」

「道とは何か。仁、義、礼、智である。人はその中にいて、少しも離れることができない。離れたら人間でない。だから道を外していきることができないのだ。天地の外や大昔や遠い未来を説いて人倫や天下国家を治めることに役立たないのは邪説の親玉だ、

もし宇宙の外に宇宙があったとしても、人があるのであれば、必ず君臣父子夫婦の倫があり、仁義礼智の道にしたがっているだろう。

だから、道は人によってあらわれ、人がなければ道は見ることができないというのだ。良くこの説を聞いて、変な説に惑うなよ」