第十回 政治を通して理想を実現する
・陽貨には心を動かされなかった孔子だが、公山弗擾の反乱には招聘に応じようとする。子路は怒る。
・なぜ招聘に応じようとしたのか。天命を知ることで、人生の有限を知ったのかもしれない。
・子路について
・親ら(みずから)其の身に於いて不善を為す者は、君子入らざるなり。
vs
・吾れ豈に匏瓜(ほうか)ならんや、焉んぞ能く繋りて食わざらんや。
・孔子は政治と人間の善意・愛情という仁を一体と考え、政治を通して行おうと考えた。これは現在(出版当時)の大陸の中国の主張と同じで根源であると考える。
小言
起用されないことに身もだえするような、孔子の焦燥が伝わってくる。
仁を行なうために政治をすることが不可欠である。という思いが孔子を苦しめているのかもしれない。
仁という思いを、自己の存在の証拠として後世に残したい。この発想は、自己の遺伝子を後世に残していきたいとか、自分に伝えられた伝統を残したいとか、
そういう人類や文明の縦の系譜に連なりたいと考えることと同一視できないだろうか。
2023年時点のインフルエンサーたちが自分たちの存在をネット上でアピールして目立たないと存在がないも同然だと思い込んでいることとも似ているのではないだろうか。
一方で、本当におそるべきものは、隠者のように市井に隠れている
という考え方もある。
どうしていくのが正解なのか、それは人類の課題なのかもしれない。