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「新訂 字訓 [普及版] 白川静 平凡社」 P12

[あき]「現、明」 明らかなこと、現実に現れていて、見ることのできる状態のものをいう。「あきつ」という形で名詞と複合して用いる。

明つ神吾皇の 天の下八嶋の中に、国はしも多にあれども…[万1050]

現・明は幽・暗に対する語で、本来神明についていう語である。「あきつ神」のように現実の身をそのまま神格化して呼ぶことは、我が国のほかに例の乏しいことであろうと思うという。

 

現実の身がある顕であるものが、そのまま神格化されるという状態が生じることは、本人たち自体はあくまでも人間であり、その人間に資格があるということを言葉によって神格化する王たちとは異なり、我が国では言葉によって自らを神格化することを必要としていなかったのではないだろうか。

 

今の世ではSNSや映像や言葉で神格化するのが大流行だが、現実の身が神格化するまで練磨しつづけるところに真髄があるようにも思われる。