伊川先生(程頤)は「聖人は簡単だと言って人を驕りたかぶらせず、また難しいと言って人が進むことを邪魔することはない」と言いますが、この言葉についてどう思いますか。
「聖人の言葉は、自然であって、飾り付けたり、いじくりまわして作り付けたりしない。もし簡単だとも難しいとも言ったことがないというならば、それは、聖人の言葉を以て道をおもちゃにしているということだ。
論語に『出るときに戸からでないやつがいるか。世に出るときに道を使わないやつがいるか』とあります。
『仁とは難しいものではない。私が仁が必要だと思えば、仁はここにある』
『未だ思いが十分ではないのだ。遠いなどと言うことがあるものか』
『道は近くにある。それなのに遠くに求めている。事は簡単なのだ、其れなのに難しいところに求めている』
皆、道が近くて簡単だと言っているではないか。
道が入りにくいとか言っているのは、道の何たるかを知らないからだ。
」
簸弄する → おもちゃにする