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童子問 第18章

「では性と教とには優劣はないのでしょうか」

「性は善であって人間が何かすることはありません。教は人為的にやらなくてはならないことが多くてとっかかり難いのです。とっかかり難い教えを受ける人は性が善い人です。性に善が満ちている人は教えのおかげです。この二つは車の両輪があるようなものです。片方のみが存在するということはありません。しかし性はもともとの性質という部分がちかいので、教えの功績が大きいと言わざるを得ないでしょう。論語に南山の竹という話があります。自然に真直ぐに生えてくるというところは性にあたります。これを切って、羽をつけたり、鏃をつけて研ぐとよく刺さります。こういう部分が教えによるものです。もし羽も鏃もつけなければ、それはただの竹の棒です。これでは矢として役に立ちません。こういう竹が百発百中、高い城壁の上の隼を射ることができるのは、竹に羽や鏃を付けるからです。論語の教えを主として孟子の拡充の説があるのはこういうことです。」