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童子問 第16章

「では教えは性よりも貴いのですか」

「どうしてそうなるの。どんなに善い教えがあっても人間が、犬や馬のように性が善でなければ、道と反発して相容れないではないですか。善ということが大事です。善を見て悦び、不善を見てこれを憎み、君子を見て貴び、小人をみて賤しむ。そういう心が必要なのです。例えば盗賊が仁でないといっても、そういう心は持っているでしょう。ここに教えが入っていくことができる理由なのです。野蛮でどうしようもなく教えもない国で学問が失われた時代であっても、人が、鬼やバケモンになっていなければ、性が善であるということです。性が善であることを、貴びなさい。」