論語とコンピュータ(読み書きそろばん)

ちょっとずつ読んで、書いてみる

「新訂 字訓 [普及版] 白川静 平凡社」 P27

ATARIというゲーム会社があった。囲碁の「あたり」からつけられた社名であるらしい。

「あたり」というのは、ある領域を占領する小さなチェックメイトのようなものらしい。そのあたり一帯を占領するという意味ではないと思うが…

 

あたり「辺(邊)」

その一帯のところ。周辺をいう。「當る」と同根の語で、いわゆる見当というのに近い。類義語の「へ」「かた」は方向的な意をもち、外れた片よったところ。「わたり」は「あたり」がのちに人を婉曲にさす語となって分化した語で、上代にはその義の用法はまだみえない。

天離る鄙の長道を戀ひくれば明石の門より家の安多里見ゆ[万3608]

  

田舎からずっと旅をしてきて、明石についたら家のあたりが見えたよ。

そんな感じの歌だろうか、シンプルで良い。

 

古典だとか名作だとかいわれるものに対して、単に、ある程度歴史に左右されない、人間の原始的な欲求や悩みを文字にしたものが、結果的に「名作」となるには、それなりの理由があるのではないだろうか。単に流行とは違うのだと断じて、奇妙にありがたがるのは、ちょっと違うのではないかという気がしなくもない。