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童子問 第19章

「先生、性道教の細かいことを教えていただき、ありがとうございます。

 教えの条目を教えてください。」

「 論語では孔子は4つの条目を教えています。すなわち文行忠信です。

 これらが孔子の学問の定法であり、初学者が道に入るための基準や原理原則となるものです。萬世の学者がここを違えてはなりません。

 さて文とは、詩書六芸のことです。行とは、孝悌禮譲のことです。己を尽くすことを忠といいます。人と実があることを信と言います。

 文を学ぶときは則ちその智や見識は偏ってはならず、形而上学的な朱子学のようなものを学ぶときには、空理空論に流れないように気を付ける必要があります。忠であれば道を行なうに足り、信であれば徳を以て立つことができます。

 では文など学ばなければいいのかというと違います。文を学ばなければ、智や見識は必ず偏ります。仏道老子はこうなりがちです。形而上学的なものを学ばなければ、その人の学びそのものはむしろ空理空論です。いわゆる儒教を中途半端に学ぶ者がこうなりがちです。忠や信がなければ、人の道に背きます。世の中の小人がこうなりがちです。

 この4つの条目、文行忠信にはその秩序はありますが、どれが素晴らしくてどれが劣っているというような階級があって、これを修めてつぎにこれ、という順番があるわけではありません。学者たるもの一生これらを探求するのです。これをもって法とすることで安全な住まいに喩えられるような仁ができ、正しい道に喩えられるような義が備わるのです。