童子問 上巻 第58章
「孟子は恕ることつまりゆるすことにつとめることは、仁を求めることの最も近い道であるといいますがどういうことですか」
「まず、求めるというのは、無いものを求めるということです。至るというのとは違います。仁というのは頑張ってやることではないです。恕るというのは頑張ってやる必要があります。仁というのは徳がある者にしかできません。恕は頑張ればできます。頑張って恕をすれば頑張らなくても仁が得られます。ひとつ恕ことを頑張ればひとつ仁を得ます。ふたつ恕ことを頑張ればふたつ仁を得ます。思うに頑張ってできるかにかかっているのです。だから『仁を求めるのに近道はない』のです。仁は仁。恕は恕。恕ことを以て仁にいたる工夫だととらえてはいけません。またどっちがすぐれているとか比べるものでもありません。」