読む/書く

ちょっとずつ読んで、書いてみる

あまし 「新訂 字訓 [普及版] 白川静 平凡社」 P42

ここ十数年ほど、本来は甘くない生の食べ物を食べて、それが何であっても「あまーい」というのが流行っている。もう十年もたてば、それは流行りというより文化の変遷かもしれない。

たんぱく質を含む食べ物が分解されてアミノ酸の甘味を感じることはあり得る。

しかし、他人の感覚なので、なんとも言い難い部分ではあるものの、例えばさっきまで生きていたイカについて、紋甲イカならばまだしも、スルメイカが甘いというのは、なんでもいいから甘いと言っておけばよいという言葉の選択やレポートを拒絶する怠慢ではないだろうか。

そう思っていたころに、あるレポーターさんが畑でナスを生のままかじって「あまーい」と言っていた。

いや、決して甘いはずがない。もう口の中はアクで大変だろう。それでもあらかじめ決めておいた反応をする。言葉の選択とかそういうことではない、まったく別方向のある意味プロ意識に恐れ入った。

 

あまし 甘 甜

からし」に対する語。美味であること。蜂蜜や砂糖のような味覚についていう。辛抱して仲良くすることを、動詞にして「あまなふ」という。